こいべた

 



「あっあの…お願いします。」


恥ずかしいし何だか緊張するけれど、保坂くんの気持ちに答えたかった。


「おうっ!」


そう言って、私の学生カバンは保坂くんの手に握られた。


「…ありがとう。」

「どういたしまして。」


微笑んだ保坂くんは何だかすごくかわいいと思う。

思いっきり笑う保坂くんは目が細くなって、もっとかわいい。

可愛いなんて言うと、きっと保坂くんは嫌がると思うけど、でも…今目の前にいるシャイな保坂くんの笑顔に黙ってはいられない。


「保坂くんの笑顔って可愛いね。」


気付けば保坂くんにそんな言葉を投げかけていた。


「えっ…?」

「いや…あっあの、その…なんていうか…その…。」


私としたことが…!

保坂くん、嫌がるよね。