こいべた

 



…打たれたんだ。

アァー!


保坂くんはひどく傷ついていた。

帽子を深くかぶったまま、泣いていた。

静かに涙を流していた。

その涙は、保坂くんの悔しさをあらわしていた。

私はこの時、初めて野球というものに感動を覚えた。


そして…野球に心を込めている、保坂くんに恋を覚えた。

このドキドキは、きっと恋って言うのだろうと私は悟った。


次の日、辛そうな保坂くんをみて、自然と感想を伝えていた。

気づいた時には、保坂くんは笑ってお礼を言ってくれた。

私を意識して私に向かって笑ってくれた事に、また胸の奥がキュンとした。

保坂くんの笑顔はずるい。

私を虜にするんだもん。

あれから、また自然に話ししたくて…、でも、変に意識しちゃってダメだった。