こいべた

 



俺はその瞬間、彼女に恋をした。


単純かもしれない。

けど、俺は生涯初めての恋をしたんだ。


いわゆる、初恋ってやつ。


「あっ…ありがとう。」


「あっ、うん!」


彼女は、少し照れたようにまた俺に笑顔を向けてくれた。


この日から、俺は彼女が好き。


その後も、彼女にあの日のように自然に話せるように頑張ってみたが、無理だった。
隣を通っただけで、意識したり…他の友達と桜井が話してるだけで、無意識に彼女に目が言ってしまう。

クラスの男子と話してるだけで、ハラハラが止まらなかったり。


―――――――……。


「…本気で好きなんだ。」

「うん…。」


ガシャ…


「え…。」

「あら…。」

「あっあの、ごごごごめんなさい。」