こいべた

 



「うん。」


俺は、好きだ。

桜井結が好きなんだ。

あの時から好きなんだ。


―――――――……。


「野球部、負けたんだって?」

「決勝戦だったんだろ?」

「延長戦までいって、1点取られて負けちゃったんだよな?…仕方ないって。」


俺が投げた一球で取られた優勝のトロフィー。

先輩には、「仕方ない」「次がんばろうな」「へこむな」って言われた。

けど…俺には大きな傷だった。


学校では、みんな…友達なりの励ましがあったが、どれも俺に傷つけた言葉でしかなかった。


けれど、どうだろ。


彼女は違った。


「お疲れ様です。私、感動したよ。保坂くんはきっと、もっと上手くなれるよ。次!頑張ってね。」


あの潤んだ目で笑ってくれたんだ。