あ…

「蓮…。」


蓮の姿を捉えた途端、ヨースケが俺を掴んでいた腕を離す。

それから「また後で」と言う言葉を残してグラウンドへと戻って行った。


…この空気は、ヤバイ、よな?

絶対怒ってーーー…

「こんなとこでなにしてんだ??」




「ぅえっ?」

蓮の口から出たのは意外にも普通の言葉で。


正直驚いた俺は突拍子もない間抜けな声を出してしまった。


「何そんな声出してんだよ。俺何かそんな変な事言ったか?」

そう言って笑う蓮。


「お…怒らないのか?」

「は?何に??」

「何にって…さっきのキーーー!!」

て、ちょっと待て!!
俺は今何を言おうとした!?

何自分からキスの事とか言おうとしちゃってんだ!?


これじゃまるでーーー…



『蓮(こいつ)にヤキモチ妬かせてーみてーじゃねぇかよ…。』


「やっ、べっ、別になんでもねー…」


違う。

そんな事は絶対ねー。


「そうか。」
「おっ、おぅ…。」

…筈だ。