圭吾さんが深々とため息をつく。

「本当の僕を見たら、君は僕を嫌いになるかもしれないよ。前に言っただろう? 以前の僕は自慢できるような人間じゃなかったって」


「でも、今は違うわ」


圭吾さんはわたしを抱きしめて、頭のてっぺんにキスをした。


「シャワーを浴びておいで。髪を乾かしてあげるよ。それから僕を寝かしつけてくれ」


わたしはクスクスと笑った。


「覗かないでよ」


「覗かないよ」

圭吾さんはニヤリと笑った。

「でも、着るものを隠すかも。天女が水浴びしている間に羽衣を隠すと、嫁になってくれるらしいから」


「困っている女性につけ込むなんて最低」


「こんなことを言ったら怒るかもしれないけど、男の気持ちがよく分かるんだ」


「やぁね」

わたしは、圭吾さんの脇腹を軽く肘で小突いた。

「シャワー浴びて来る」


「ごゆっくり、お姫様」


圭吾さんはそう言うと、優雅に一礼した。