美月と一緒に、美幸達のいる方に向かった。

人混みをかわしながら歩いていると、

「あなた」

不意に囁くような声がして、美月がいるのと反対側に人の気配がした。

目を上げると、女の人がわたしを見ている。


「あなた――の恋人?」


何?

「違いますけど」

声が震えた。

この人、変

こんなに近くにいるのに、顔が陰になって見えない。


「あなた――くんの恋人?」

地の底から囁くような声が重ねて問う


人間じゃない


わたしが悲鳴を上げそうになった時、美幸がわたしの名前を呼んで抱き抱えた。

近くで舌打ちする悟くんの声がする。

「くそっ、逃げられた!」


「何なの、あれ」

わたしは美幸にすがりついた。


「あれ、生霊だよね」

美幸が悟くんに聞いた。