どうしようもなくて、手にアイスクリームカップを持ったまま、肘を圭吾さんの肩に乗せた。


「苺の匂いがする」

キスの合間に圭吾さんがつぶやいた。


それ、アイスクリームの匂いよ


「どうして僕の思いは、いつも君に伝わらないんだろう?」


十分に伝わってるってば!


「――たぶん」

わたしは、やっとのことで言葉を挟んだ。

「たぶん、アイスクリームのカップをどこかに置かせてくれたら、もっと熱心になれると思うんだけど」


圭吾さんは、やっとわたしの不自然な体勢に気づいた。


「何、持ってるの?」


「アイスクリームのカップとスプーン」

それ以外に何があるって言うのよ。

わたしは圭吾さんから少し体を離して、両手を自分の前に持って来た。

「もうほとんど入ってないけど」

むっつりとして言うと、圭吾さんが声を立てて笑いだした。


何よ


「気がそれてるなと思ったのは、そいつのせい?」