表紙にクリップで留められたバースデーカードを読んだ。
「ママの日記だわ。それと、大学にいた時の研究ノートだって」
思わず声が震えた。
「この服は彩名さんからなの。こんなにいっぺんにプレゼントもらったの初めて」
「それと竜城神社の龍神からも来てるよ」
圭吾さんはカーテンを開け放った窓の外を指した。
「今夜は満月じゃないはずなんだが」
窓の向こうは濃紺の夜空で、絵に描いたような美しい満月が輝いていた。
「嘘みたい」
「羽竜にいると、こういう事がよくある」
圭吾さんは片手を伸ばしてわたしの髪を撫でた。
「今夜は一段と人形みたいに見えるな。初めて会った時はてっきり人形だと思った」
「こんな大きな人形なんてないわ」
「いや、彩名なら有り得るよ。中学生の時に、貯金をはたいて等身大の蝋人形を買ったんだから」
それは当時彩名さんが夢中になっていたアイドルの人形で、配達された時の異様な光景とお父さんの激怒ぶりが可笑しかったという。
「父の怒り方がまた的外れでね。『こんな男のどこがいいんだ』って――そっちかよってツッコミたくなったよ。別人のだったらいいのか?」
わたしは笑い転げた。
「ママの日記だわ。それと、大学にいた時の研究ノートだって」
思わず声が震えた。
「この服は彩名さんからなの。こんなにいっぺんにプレゼントもらったの初めて」
「それと竜城神社の龍神からも来てるよ」
圭吾さんはカーテンを開け放った窓の外を指した。
「今夜は満月じゃないはずなんだが」
窓の向こうは濃紺の夜空で、絵に描いたような美しい満月が輝いていた。
「嘘みたい」
「羽竜にいると、こういう事がよくある」
圭吾さんは片手を伸ばしてわたしの髪を撫でた。
「今夜は一段と人形みたいに見えるな。初めて会った時はてっきり人形だと思った」
「こんな大きな人形なんてないわ」
「いや、彩名なら有り得るよ。中学生の時に、貯金をはたいて等身大の蝋人形を買ったんだから」
それは当時彩名さんが夢中になっていたアイドルの人形で、配達された時の異様な光景とお父さんの激怒ぶりが可笑しかったという。
「父の怒り方がまた的外れでね。『こんな男のどこがいいんだ』って――そっちかよってツッコミたくなったよ。別人のだったらいいのか?」
わたしは笑い転げた。