その夜遅く、自分の部屋で圭吾さんに電話をかけた。


――志鶴? 無事に着いたんだね

「うん。圭吾さん、今、忙しい?」

――いいや。三十日の夜までは大丈夫だよ

「何してたの?」

――仕事

「お仕事ばっかり」


低い笑い声が聞こえる


――その代わり、志鶴が帰って来たら休めるよ

「うん。デートしようね」

――いいね。どこ行きたい?

「圭吾さんが決めて」


どこでもいいの。あなたといられるのなら。


「圭吾さん」

――ん? 何?

「大好き」

――うん


『知ってるよ』って思ってるでしょ


「わたしの心って、どんなふうに見えるの?」

――水晶でできた洞窟みたいに。奥の方に暖かい光があるよ

「どこかにわたしの気持ちが書いてある?」