その腕で抱きしめて












「百合さん……美人だったなぁ……」




あたしは少し笑って言う。



「……………………」



誠哉は何も答えないから……



「ねぇ?、誠哉の事信じていいんだよね…?」




あたしは笑って誠哉の方を向くと
「うん」


って無表情で言われた。



だけど、言ってくれた事に嘘はないから
信じるよ………誠哉の事。





「あたし、頑張るね。誠哉があたしといて楽しいって思える彼女になるから…」



「じゅうぶん楽しいけど」



ほら、また無表情で言う。



百合さんとは笑顔だったくせに




「わがまま言ってもいい?」



「いつも言ってんじゃん」



やっと笑ってくれた。




そう、ずっとこの顔を見たかった。




「ケーキ食べたい。誕生日だもん」



あたしは誠哉が入りこんでる布団を掴む。




「そうだな!行くか」



そう言って 車を出してくれた。