その腕で抱きしめて








*彩名side




「なぁ、昨日…俺さ、何かした?」


いつもの冷たい目であたしに聞く。



…覚えてないん…だ。


「覚えてないんですか?」


必死に笑顔を作ろうと思っても
できなくて自然と笑顔は消える。




「祐也が連れてきたとこまでしか…」


誠哉さんは キッチンから来て
隣にあるソファに腰掛ける。


「最悪ですよ…」


あたしは小さい声で呟くと

「ん?」


って… 聞こえてなかった。


「誠哉さんにとってあたしって何なんですか?」


あたしは真っ直ぐ誠哉さんを見て…



「……………わかんない」



心臓が止まったかのように痛くて
あたしは無意識で涙が零れた。



「何それ。…キスしたくせに。体…触ったくせに。…わからないってナシだよ」



あたしは気づいたら近くにあった
自分の携帯を投げてて…


そのまま携帯も取らず
誠哉さん家を出た。




そのまま、家へ帰り
シャワーを浴びて腫れた目を冷やして
学校へ遅刻した。