今、聖堂の前身部の
取り壊し作業が行われていた。
石壁をたたき壊しては
海にぶち込んでいた。
「これじゃあ、
今年はクリスマスどころじゃないな。」
なんて声も聞かれた。
昼食の時間になり、
仲間たちと食堂へ行った。
食堂では又三郎が
所在無さげにぽつりと座っていた。
俺に向かって小さく手を振った。
他の連中がいるから
恥ずかしそうだった。
「又三郎は、今日は休み?」
せむしが言った。
「そうなんだ。」
又三郎はうれしそうに言った。
「厨房係って大変だよな。
俺らより労働時間長いもんな。」
せむしが言った。
食事をもらってきて、
俺と又三郎とせむしとトラビスで
座った。
少しはなれたところに
ニコルがいた。
憮然とした顔をしていた。
礼拝や、合唱など、
全体が集まる時、
又三郎は、金魚の糞とまでは
言わないが、なんとなく
いつも俺のそばにいた。
俺と又三郎の関係は、
周囲から暗黙の了解を得ていた。
毎晩、俺のベッドを訪れているのだ。
おしゃべりのせむしの奴が
あることないこと
ふれまわっていてもおかしくない。
ニコルも気づいてないはずがない。
とても敏感な奴だ。
「又三郎は仕事もう慣れた?」
トラビスが話しかけた。
「うん。だいぶ慣れたよ。
トラビスは、現場の仕事慣れた?」
周囲が凍りついた。
だれしも、トラビスが不祥事で
助祭から降格して
現場に来たことに関して
触れようとしなかったからだ。
正直なせむしは
落ち着きをなくしてしまった。
「どうだろう。
僕、足手まといになってない?」
トラビスはみなに尋ねた。
「今はただ、ぶち壊して
海に投げ入れるだけだ。
人手は一人でも多いほうがいい。」
何気ない風に会話を聞いていた
ニコルが言った。
「そうだね。
はやく聖堂を壁でふさがないと
みんなこごえちゃうよね。」
トラビスが微笑んだ。
「僕、まだちゃんと
謝ってなかったな。みんなにも、
オーベール様にも。
聖堂を壊したこと。」
又三郎が言った。
「そうだったよな。」
俺が言った。
あの時又三郎は
失禁するほどオーベール師を
恐れていた。
失禁したことも覚えていない
かもしれない。
「よし。
今日ちゃんと謝ってこよう。」
又三郎は自分に言っていた。
そして夕餉も共にして、
ゲドウの工房へ行く時、
又三郎が一緒についてきた。
「関係ない奴は出ていきな。」
ゲドウは又三郎を追い出した。
取り壊し作業が行われていた。
石壁をたたき壊しては
海にぶち込んでいた。
「これじゃあ、
今年はクリスマスどころじゃないな。」
なんて声も聞かれた。
昼食の時間になり、
仲間たちと食堂へ行った。
食堂では又三郎が
所在無さげにぽつりと座っていた。
俺に向かって小さく手を振った。
他の連中がいるから
恥ずかしそうだった。
「又三郎は、今日は休み?」
せむしが言った。
「そうなんだ。」
又三郎はうれしそうに言った。
「厨房係って大変だよな。
俺らより労働時間長いもんな。」
せむしが言った。
食事をもらってきて、
俺と又三郎とせむしとトラビスで
座った。
少しはなれたところに
ニコルがいた。
憮然とした顔をしていた。
礼拝や、合唱など、
全体が集まる時、
又三郎は、金魚の糞とまでは
言わないが、なんとなく
いつも俺のそばにいた。
俺と又三郎の関係は、
周囲から暗黙の了解を得ていた。
毎晩、俺のベッドを訪れているのだ。
おしゃべりのせむしの奴が
あることないこと
ふれまわっていてもおかしくない。
ニコルも気づいてないはずがない。
とても敏感な奴だ。
「又三郎は仕事もう慣れた?」
トラビスが話しかけた。
「うん。だいぶ慣れたよ。
トラビスは、現場の仕事慣れた?」
周囲が凍りついた。
だれしも、トラビスが不祥事で
助祭から降格して
現場に来たことに関して
触れようとしなかったからだ。
正直なせむしは
落ち着きをなくしてしまった。
「どうだろう。
僕、足手まといになってない?」
トラビスはみなに尋ねた。
「今はただ、ぶち壊して
海に投げ入れるだけだ。
人手は一人でも多いほうがいい。」
何気ない風に会話を聞いていた
ニコルが言った。
「そうだね。
はやく聖堂を壁でふさがないと
みんなこごえちゃうよね。」
トラビスが微笑んだ。
「僕、まだちゃんと
謝ってなかったな。みんなにも、
オーベール様にも。
聖堂を壊したこと。」
又三郎が言った。
「そうだったよな。」
俺が言った。
あの時又三郎は
失禁するほどオーベール師を
恐れていた。
失禁したことも覚えていない
かもしれない。
「よし。
今日ちゃんと謝ってこよう。」
又三郎は自分に言っていた。
そして夕餉も共にして、
ゲドウの工房へ行く時、
又三郎が一緒についてきた。
「関係ない奴は出ていきな。」
ゲドウは又三郎を追い出した。

