「これはあんたが描いたのか。」
「そうだ。こいつはまもなく、
ロマリアの教会に納品される。」
「すごいな。」
教会には必ず聖画がある。
しかしここまで現実に
目に見えるのと同じように、
さらにはそれ以上に
描き出されている絵は見たことがない。
俺はしゃがみこんで
いつまでも絵を眺めていた。
キリストの美しい顔立ち、
それは舞台役者のように
本人が美しさを表現しているかのようだ。
そしてマタイの落胆ぶりは
すさまじい。
次第に、こんな所業ができるのは、
まともな神経ではとても
できようがない、
とも思えてきた。
ゲドウは外見、
少しくたびれてはいたが、
どうということのない男だ。
だが、そこには
これだけの創造力が
内包されている。
どちらかというと、
暗い力のように感じる。
キリストのいる場所から
強い光が差し込んでいるが、
それをきわだたせているのは、
周囲の闇だ。
「さて、あんたに頼みたいのは、
絵のモデルだ。
ただ突っ立ってるだけで、
10やろう。二週間だ。」
「はあ。かまわないが、
俺も仕事がある。時間がないのだが?」
「朝と晩の、祈りの時間があるだろう。
聖堂を飾る絵のモデルなんだから、
祈りととらえてもいいんじゃないか?
俺の口座からおまえの口座に
10振り込んでおくから。
あとでねずみに言って
帳面を確認しといてくれ。
じゃあ、さっそく脱いでもらおうか。」
あっという間に話が決まってしまった。
「ゲドウ、ほんの少し待ってくれないか、
一度上に行ってきたいんだ。」
「そうだ。こいつはまもなく、
ロマリアの教会に納品される。」
「すごいな。」
教会には必ず聖画がある。
しかしここまで現実に
目に見えるのと同じように、
さらにはそれ以上に
描き出されている絵は見たことがない。
俺はしゃがみこんで
いつまでも絵を眺めていた。
キリストの美しい顔立ち、
それは舞台役者のように
本人が美しさを表現しているかのようだ。
そしてマタイの落胆ぶりは
すさまじい。
次第に、こんな所業ができるのは、
まともな神経ではとても
できようがない、
とも思えてきた。
ゲドウは外見、
少しくたびれてはいたが、
どうということのない男だ。
だが、そこには
これだけの創造力が
内包されている。
どちらかというと、
暗い力のように感じる。
キリストのいる場所から
強い光が差し込んでいるが、
それをきわだたせているのは、
周囲の闇だ。
「さて、あんたに頼みたいのは、
絵のモデルだ。
ただ突っ立ってるだけで、
10やろう。二週間だ。」
「はあ。かまわないが、
俺も仕事がある。時間がないのだが?」
「朝と晩の、祈りの時間があるだろう。
聖堂を飾る絵のモデルなんだから、
祈りととらえてもいいんじゃないか?
俺の口座からおまえの口座に
10振り込んでおくから。
あとでねずみに言って
帳面を確認しといてくれ。
じゃあ、さっそく脱いでもらおうか。」
あっという間に話が決まってしまった。
「ゲドウ、ほんの少し待ってくれないか、
一度上に行ってきたいんだ。」

