七日目の朝、
省みの部屋から
開放される時が来た。
ゲドウが独房から
俺を出すときに言った。
「ミゲーレ、覚えてるか?
最初にあんたが
ここに来た時、
後で小遣い稼ぎさせて
やろうって言ったの。」
「ああ、言ってたな、
そんなこと。」
「ちょっとついておいで。」
省みの部屋の鉄の扉を
通り過ぎた向こうに
ゲドウの私室があるらしかった。
ゲドウは扉を開いて
俺を中に入れた。
その時驚いた。
部屋の奥には、
もう一つの空間があった。
暗いバールの中に人々が
座っていた。
そして戸口から
強い光が差し込んでいた。
「キリストだ。」
思わずそう言っていた。
俺はその空間に向かって
歩いていった。
「これは、絵か?」
「そうだが?」
よく近づいてみると、
精緻すぎる面にわずかに
筆の跡が認められた。
差し込む光の中に
たたずむキリストが、
腕をあげ、指を刺している。
その指の先には、
バールの奥に座り、
うなだれている若者がいた。
「こいつはマタイか?」
「そうだ。」
「マタイの召し出しの場面だな。」
「当たりだ。
あんたはちゃんと聖書を読んでるな。」
俺は少し離れてその絵を眺めた。
本当に、もう一つの別の空間が、
その枠の中にあるようにしか
思えない。
何度見ても、もうため息しか出なかった。
省みの部屋から
開放される時が来た。
ゲドウが独房から
俺を出すときに言った。
「ミゲーレ、覚えてるか?
最初にあんたが
ここに来た時、
後で小遣い稼ぎさせて
やろうって言ったの。」
「ああ、言ってたな、
そんなこと。」
「ちょっとついておいで。」
省みの部屋の鉄の扉を
通り過ぎた向こうに
ゲドウの私室があるらしかった。
ゲドウは扉を開いて
俺を中に入れた。
その時驚いた。
部屋の奥には、
もう一つの空間があった。
暗いバールの中に人々が
座っていた。
そして戸口から
強い光が差し込んでいた。
「キリストだ。」
思わずそう言っていた。
俺はその空間に向かって
歩いていった。
「これは、絵か?」
「そうだが?」
よく近づいてみると、
精緻すぎる面にわずかに
筆の跡が認められた。
差し込む光の中に
たたずむキリストが、
腕をあげ、指を刺している。
その指の先には、
バールの奥に座り、
うなだれている若者がいた。
「こいつはマタイか?」
「そうだ。」
「マタイの召し出しの場面だな。」
「当たりだ。
あんたはちゃんと聖書を読んでるな。」
俺は少し離れてその絵を眺めた。
本当に、もう一つの別の空間が、
その枠の中にあるようにしか
思えない。
何度見ても、もうため息しか出なかった。

