冥王星

オーベール師の執務室に呼ばれた。
師の前に三人で立った。
ニコルが口火を切った。

「私の責任です。
私は自分の分をわかっていませんでした。
どういうことになるのか解らずに
又三郎に呪文を教えてしまいました。」

深々と頭を下げた。
オーベール師はうなずいた。

そして師は又三郎に向いた。
又三郎はがたがたふるえている。
師は、帽子を脱いだ。
例の、第三の目のような額の穴が現れる。

又三郎は間近で目にするのがはじめてなのか、
恐怖のあまり叫び声をあげた。

オーベール師の第三の目が
又三郎を見つめる。
又三郎は恐ろしさでくぎづけになる。
そして失禁した。
足元から尿がしたたっている。

俺は震える又三郎の肩を力強く抱いた。

師は帽子を被り、窓辺に立った。

「この山には大天使ミカエルのご加護がある。
そのおかげで、いままで君の強大な力は
封印されていた。」

そしてまた又三郎の前に来た。

「君は大人になった。
だから持っている力も、強さを増した。
もう、いままでのように、
知らん顔では通せないんだよ。」

そしてニコルを見た。

「ニコル、君は優秀だ。
だが、又三郎の力を制御することは
とてもむずかしい。

又三郎の優しい性格と、
強大な破壊力は
釣り合いが取れないのだ。

これから又三郎の魔法の教授は
オギ副院長に頼もう。」

「はい。」

ニコルはまた頭を下げた。

オーベール師は俺の前に立った。

「ミゲーレ、君は又三郎を殴っていたね。」

「はい。」

「どんな理由であろうと、
ここにいるものが暴力をふるってはいけない。

懺悔室に行きなさい。」

「わかりました。」