冥王星

(どうしよう。)

(呼ぶしかないでしょ。)

(だけどまた、あいつ悩むよ。
さらなる苦しみを与えてしまうことになるかもしれない。)

(たしかにそうだね。)

(俺には決められない。)

(決めるのは、本人じゃない?)

俺はカンテラを再び手に持った。

「ミゲーレさん、今だれかと話してたの?」

マリアが不思議がった。

「ああ。幽霊とね。」

「えっ?!」

マリアはおびえて見せた。

俺は鉄柵に近づき、腰を落とした。
マリアに俺の顔が見えるように、カンテラをかざした。

「マリア、自分が何をしようとしてるか、わかってる?」

マリアは目をそらした。

「夜中に、トラビス助祭が、君と会っていることが、
もし誰かに知られたら、トラビス助祭はここから追い出されてしまうかもしれないよ。」

マリアは鉄柵をにぎってうつむいた。

「それでも、トラビスを呼んでくる?」

マリアは顔を上げて俺を見つめた。
その目にはカンテラの光がうつって潤んでいた。

「トラビスさまが好きなの。」

「うん。」

俺はしばらくマリアの目を見つめていた。
それでもマリアは俺から目をそらさない。

「わかった。君が今、ここに来ていることをトラビスに話す。
でも、トラビスがここに来るか、来ないかは、トラビスが決めることだ。
来るか、来ないかは、わからないよ。それでいい?」

「それでいいわ。」