冥王星

少年達は就寝前の自由時間をすごしていた。
俺は一階の博士の部屋の窓をのぞいた。

「おい、博士!」

窓をこつこつたたいた。

「ミゲーレ!なんだよ」

「おまえ、キャラメル持ってないか?」

「キャラメル?!」

博士は素っ頓狂な声を出した。

「あるよ。」

ポケットから塩キャラメルを一個取り出した。

この塩キャラメルは栄養上、
16歳未満の子供にだけ毎食後配給されていた。
その場ですぐに食うものもあったし、
取りためておくものもあった。

「一個だけか?」

「あと食べちゃったもん。」

俺は窓から少年宿舎の部屋に乗り込んだ。

「おい、おまえら、ありったけの塩キャラメルをここにもってこい!!」

少年達の攻撃的なまなざしが俺に集中した。

「なんだ、その口の利き方は。後輩のくせに。」

「大人がなんでキャラメルをほしがるんだ。」

「勝手に入ってくんなよな。」

俺は少し焦りすぎているようだった。

「よし。わかった。俺にキャラメルをくれた奴には、幻灯を見せてやる。」

「ええ!」

「ミゲーレはもう幻灯はやらないんじゃなかったのか?」

「今回は特別だ。そのかわり、誰にも言うんじゃないぞ。」

「俺、幻灯見たい!」

一人の少年がキャラメルを出した。
するとわれもわれもとみながキャラメルを差し出した。

少年宿舎の全室を回った。

「キャラメルあげたらミゲーレが幻灯をやってくれるんだって。」

「ほんと!見たい見たい!」

キャラメルは俺の手のひらいっぱいになり、
両手で持ちきれないほどになった。

「それで、いつやってくれるんだよ?」

「今やってよ!」

「悪いな。今は時間がないんだ。でも必ずやるから。
みんなありがとう。」

俺はキャラメルをポケットに詰め込んで、医務室に走った。