冥王星

俺はせむしを呼んだ。

「トラビスが見つかった。一緒に来てくれ。」

せむしと俺は急いで西の渡り廊下に向かった。

渡り廊下いっぱいにトラビスが仰向けになっていた。
まるで亡骸のようだった。

「トラビス助祭!!」

せむしは驚いて駆け寄った。

「大丈夫、意識はあるみたいだ。一緒に運んでくれるか?」

俺がトラビスの頭を持ち、せむしは足を持ち、医務室に運んだ。
トラビスはずっと目を閉じていたが、
一度だけ目を開いて俺を見た。

その目は悲しかったが、もとの美しい緑色をたたえていた。

医務室の寝台にトラビスを横たえたとき、
医者のドクターサリエリがやってきて、
トラビスの診察を始めようとしていた。

「トラビス君、わかるかい?わたしの声がきこえてるかね?」

「はい。」

ドクターサリエリは堅物で有名だ。
やっちまった。

仮病がばれてしまう。

(どうしよう。)

(とても本当のことを話してわかってくれるじいさんじゃなさそうだね。)

(困った!何かドクターサリエリの弱みか何かなかったか?)

(ゆするの?!)

(でもこの人は高潔だからなにもない。)

(たしか、ドクターサリエリは甘いものに目がないんじゃなかった?)

(そういえば、そんなこと博士にきいたような。)

「サリエリ先生、トラビス助祭をお願いします。俺はちょっと失礼します。」

そう言って俺は博士のいる少年宿舎に走った。