冥王星

日曜の一般ミサ。
俺はまた手伝いを頼まれていた。

ところが、時間になっても一向にトラビスが現れないのだ。
ツチノコ司祭も気を揉んで弟子たちに探しに行かせたが
みつからない。

「しかたない。みんな集まってるからもうはじめよう。」

ツチノコはミサをはじめた。
行きがかり上しかたなく俺が聖体拝領を行うことになった。

俺にはまだそんな資格はない。
しかし司祭の判断でそうした。

巡礼客はともかく、
地元の信者たちはトラビスがいないことを不思議がった。

しかしミサ中の私語は厳禁なので、
違和感の中聖体拝領は行われた。

マリアもいた。

マリアの口の中にホスチアを入れた。
マリアは口をあけたまま俺に一礼して去った。

このまえの聖体拝領のとき、
マリアはトラビスの指を口に含んでいた。

その瞬間だけが、二人の交わりの時にちがいなかった。