冥王星

「こんばんは」

ルイーダはいつもどおりという風に声をかけた。

トラビスは俺を見ると少しおどろいたようだった。

「ミゲーレ、もうこんな遊び覚えたのか?
剛力、きみのしわざだな。」

剛力はへへ、と笑っている。

「あんたこそ、まさかこんなところで会うなんて。」

「僕はただの郵便屋さんだよ。」

そう言うと封筒をルイーダに渡した。
そしてそのまま表情も変えず店を出て行った。

ルイーダはその場で封を切って中を見た。

剛力は頭をかきながら言った。

「ツチノコ神父は変態だな。」

ツチノコ神父とは、日曜に一般ミサを執り行っている司祭だ。
つまりトラビスの上司である。

トラビスは上司の買春の発注しに来たってことだ。
剛力の発言からして、ツチノコ神父の所望はマリア。

腐ってる。






(トラビスかわいそう。)

(つらいだろうな。俺、ここに幻滅した。)

(どこだって、同じなんだね。でも、トラビスは純粋な人だよ。)

(あの人は、自分の背負っている十字架に耐えられるんだろうか?)

(少し支えてあげたら?)

(どうやって?)

(わからない。)

(そうだよな。他人にはどうすることもできないよな。)