冥王星

ミサの後、日曜学校があった。
大人は聖堂で、司祭の講話をきいた。

子供たちはテラスで、トラビスを囲み話を聴くことになっていた。

俺はせむしに声をかけた。

「めずらしいじゃないか。おまえがすすんでミサに出るなんて」

「むふふふふ。日曜だけは特別だもの。」

せむしの視線の先にはロマ人の少女がいた。

「マリアちゃん。かわいいよな。」

涎でも垂らしそうな勢いだ。

「さっき親子でいたよな?」

「あの子の母親はヴェロニカっていって娼婦なんだぜ。巡礼客相手の。
おまえ、ルイーダの店って知ってる?」

「ああ。」

「あのルイーダって女が遣り手をやってるんだ。
ルイーダの店には階上に上がる階段が二つあってな。
一つはルイーダの住処。もう一つがあの親子の住処になってるんだと。」

「おまえ、ずいぶんくわしいじゃないか。
買ったのか?」

「俺がそんな女相手にするわけないだろ。」

娼婦に興味津々だが、買う勇気がない。
マリアちゃんも娼婦だってこと、こいつ知らないな。
言わないで置いてやろう。

「ミゲーレ!こっちに来てくれよ!」

トラビスが呼んだ。
トラビスは子供たちに大人気で、小さいのが前にも後ろにもぶら下がっていた。

「さあ、みんな、ミゲーレの話を聴こう。ミゲーレはお話がとっても上手なんだ。」

いつの間にそんなことにされたのか。