「触ってみろ。

おまえはただの肉塊なんだ。

おまえの体。
おまえの体は
何でできている?

それは食べ物から作られる。
食べ物はもともとは何だ?

それは他の生き物の体だ。

おまえは
それらが集まってできている、
肉塊にすぎない。

そこから
おまえの精神も
つくられている。

おまえは自分が、
この世界から独立した
一個の存在だと
思っているかもしれないが、
おまえはこの世界の一部だ。

おまえという、
ただの澱みでしかない。」

俺はニカイアの胸を
爆発させた。

首を絞めていた髪の毛は
とたんに力を失い、落ちた。

ニカイアは
口を大きく開けて
呼吸しようとしていた。

瀕死の状態だ。

「ミゲーレ、なんてことを。」

又三郎の声が聞こえた。

俺は仰向けになった
ニカイアの上に
四つん這いになった。

「ニカイア。」

呼ぶとニカイアは
大きく目を見開き俺を見た。

「このまま何もしなければ、
おまえは死ぬ。

俺が回復魔法を施せば
おまえは生きる。

どっちにする?
おまえが決めろ。」

ニカイアは
声にもならないあえぎで、

「たすけてくれ」

と言った。

俺はニカイアの体を抱いた。

そしてもてる全ての力で
ニカイアの傷を治癒させた。


俺は気を失った。