「おはよう。」
ニカイアが枯れた声で言った。
せきばらいを何度かした。
「あれ、声が出ない。」
俺は身支度をしながら言った。
「声変わりが始まったんだ。」
ニカイアはしばらく
声を出してみたり、
せきばらいを
してみたりしていた。
現場で見たニカイアの姿は、
心なしか、
昨日より大きく見えた。
赤ん坊が、
一晩で大きくなるという話は
聞いたことがあるが、
16歳の少年が
一晩で成長するなんて
あるだろうか。
いままでろくに
食物を摂らなかった
ニカイアが、
きのう一日は山のように喰った。
そいつがもう、
吸収されてニカイアの肉体を
大きくしたというのだろうか。
昨日にも増して、
ニカイアはたくましく働いた。
石を持ち上げる滑車の綱を
力いっぱい引く。
足腰はしっかりと支え、
腕の筋肉が盛り上がる。
ニカイアは
自分の肉体の作用を
楽しんでいた。
体を使うことが
うれしくてたまらないと
いった様子だ。
現場監督が俺に言った。
「ニカイアが
最初に来た時は、
一体どうなるかと
心配だったが、
ちゃんと一人前に
やってるじゃないか。」
そして俺の肩をたたいた。
「よかった。よかった。」
だが、俺は、なんとなく、
気味が悪かった。
こんなに、急に
変化するものだろうか。
違和感がある。
ニコルもずっと
気落ちしたままで、
仕事の指示は出すものの、
声がしずんでいた。
顔もずっと無表情だった。
ニカイアが枯れた声で言った。
せきばらいを何度かした。
「あれ、声が出ない。」
俺は身支度をしながら言った。
「声変わりが始まったんだ。」
ニカイアはしばらく
声を出してみたり、
せきばらいを
してみたりしていた。
現場で見たニカイアの姿は、
心なしか、
昨日より大きく見えた。
赤ん坊が、
一晩で大きくなるという話は
聞いたことがあるが、
16歳の少年が
一晩で成長するなんて
あるだろうか。
いままでろくに
食物を摂らなかった
ニカイアが、
きのう一日は山のように喰った。
そいつがもう、
吸収されてニカイアの肉体を
大きくしたというのだろうか。
昨日にも増して、
ニカイアはたくましく働いた。
石を持ち上げる滑車の綱を
力いっぱい引く。
足腰はしっかりと支え、
腕の筋肉が盛り上がる。
ニカイアは
自分の肉体の作用を
楽しんでいた。
体を使うことが
うれしくてたまらないと
いった様子だ。
現場監督が俺に言った。
「ニカイアが
最初に来た時は、
一体どうなるかと
心配だったが、
ちゃんと一人前に
やってるじゃないか。」
そして俺の肩をたたいた。
「よかった。よかった。」
だが、俺は、なんとなく、
気味が悪かった。
こんなに、急に
変化するものだろうか。
違和感がある。
ニコルもずっと
気落ちしたままで、
仕事の指示は出すものの、
声がしずんでいた。
顔もずっと無表情だった。

