どうしたんだろう。
ロメオの死から、
急にニカイアが変わった。
聖堂の建設現場にて、
まっすぐに猫車を
走らせる
ニカイアがあった。
仲間が引く、
重い切り出した石を
たくさん載せた荷台を、
力強く押す
ニカイアがあった。
まるで、
強い肉体を新しく
神から授かったかのように、
自らの持てる力、
身体能力を
楽しんでいるようだった。
反対に、ニコルは
すっかり元気をなくしていた。
今までのように全体に
注意力が及んでいなかった。
まるで
顔にひびが入ったように
暗い表情をしていた。
そして黙って、
目の前の仕事を
こなすだけだった。
ニコルに話しかけた。
「見ろよ。
ニカイアをちゃんと一人前に
働けるようにしたぞ。
16歳の誕生日を迎えて。」
ニコルは手を止めて、
すばやく動き回る
ニカイアを眺めた。
「ああ。そうだな。」
そう言っただけで、
また自分の作業を
淡々と進める。
俺に向けた背に
てのひらをあててみた。
今のニコルの肉体は、
まるで鉱物だ。
冷たくて硬い。
「懺悔をしたんだろう?」
俺は訊いた。
「ああ。」
ニコルは
背を向けたまま答えた。
「省みの部屋へ
行きたいといったが、
それよりも
今までどおりの職責を
果たすようにと言われた。」
「そうか。」
自分を責めているんだ。
ニコルは自分のせいで
ロメオが死んだと思ってる。
触れているニコルの背中は、
かたくなに俺を拒んでいる。
いつものニコルの
怒鳴り声や、
指示を出す
大きな声が聞かれず、
現場は静かで、
活気がなかった。
ただニカイアだけが、
場違いなほどに
元気が良くて
力強く身軽に動き回った。
ロメオの死から、
急にニカイアが変わった。
聖堂の建設現場にて、
まっすぐに猫車を
走らせる
ニカイアがあった。
仲間が引く、
重い切り出した石を
たくさん載せた荷台を、
力強く押す
ニカイアがあった。
まるで、
強い肉体を新しく
神から授かったかのように、
自らの持てる力、
身体能力を
楽しんでいるようだった。
反対に、ニコルは
すっかり元気をなくしていた。
今までのように全体に
注意力が及んでいなかった。
まるで
顔にひびが入ったように
暗い表情をしていた。
そして黙って、
目の前の仕事を
こなすだけだった。
ニコルに話しかけた。
「見ろよ。
ニカイアをちゃんと一人前に
働けるようにしたぞ。
16歳の誕生日を迎えて。」
ニコルは手を止めて、
すばやく動き回る
ニカイアを眺めた。
「ああ。そうだな。」
そう言っただけで、
また自分の作業を
淡々と進める。
俺に向けた背に
てのひらをあててみた。
今のニコルの肉体は、
まるで鉱物だ。
冷たくて硬い。
「懺悔をしたんだろう?」
俺は訊いた。
「ああ。」
ニコルは
背を向けたまま答えた。
「省みの部屋へ
行きたいといったが、
それよりも
今までどおりの職責を
果たすようにと言われた。」
「そうか。」
自分を責めているんだ。
ニコルは自分のせいで
ロメオが死んだと思ってる。
触れているニコルの背中は、
かたくなに俺を拒んでいる。
いつものニコルの
怒鳴り声や、
指示を出す
大きな声が聞かれず、
現場は静かで、
活気がなかった。
ただニカイアだけが、
場違いなほどに
元気が良くて
力強く身軽に動き回った。

