冥王星

その日一日、
我々は食事もせず、
礼拝堂で祈り続けた。

小声で、
ニカイアがトラビスに
訊ねていた。

「自殺は罪ではないんですか?
それなのに、
こうしてみなで
祈ってやるのですか?」

トラビスはニカイアの肩に
手を置いた。

「自ら命を絶たねば
ならいほどに、
苦しんでいたんだ。
神はロメオをお救い下さる。」

脇でこの言葉を
きいていたニコルが
さらなる衝撃を
うけているようだった。

「そういうことに
なってるんですね。」

ニカイアが言った。

ニカイアは今度は
俺のところにやってきた。

「みんな、
あんなに泣いてるけど、
そんなにみんなロメオと
親しかったのかな?」

「やっぱり、悲しいよ。
そんなにすごく親しかった
わけじゃなくても、
誰かが死んだら。」

「ふうん。そうなのかな。」

ニカイアが俺を見ている。

「ミゲーレは泣いてないね。」

悲しい気持ちはしたが、
涙が出るほどではなかった。





消灯時間になった。

俺は自分の床についたが、
落ち着かなかった。

「トラビス、
ロメオはどの部屋で
寝ていたんだ?」

俺が下段の
トラビスに訊ねると、
トラビスよりも早く
せむしが答えた。

「ロメオは、
ニコルと同じ部屋だったよ。」

少し怒りがこもったような
口ぶりだった。

「そうか。」

ニコルと同じということは、
空いたベッドには
ニカイアが来ているはずだ。

又三郎の一件があってから、
少年宿舎から
新しく移ってきた修道士は
ニコルと同室になるからだ。

俺はなんだか胸騒ぎがして、
寝ていられなくなった。

「俺、ちょっと様子見てくる。」

そういって、
ニコルと又三郎の
寝ている部屋に行った。