ふと、
ロメオがせむしと一緒に
肉を食うのが目に入った。
そういえば、
せむしとロメオは
わりと仲が良かった。
葡萄酒に顔を染めながら
笑い合っていた。
それはいつもの
怒られた時の
ヘラヘラ笑いとは違っていた。
そうだ、ニカイアは
やはり来ていないのか?
姿が見えなかった。
俺は捜しに言った。
ニカイアが
いくら食欲がないといっても、
このご馳走を逃す手はない。
ニカイアは
いつもの寝床にいた。
「おーい、ニカイア!」
俺はのぞきこんだ。
「今夜くらいは出て来いよ!」
俺はうまいものを食って
うまい酒をのんで、
うきうきしていた。
ニカイアは
しぶしぶながら
俺についてきた。
ニカイアを
迎賓の間に連れてくると、
又三郎がふくれっつらをした。
「またニカイア?」
俺は又三郎の両頬を
片手でつかんでつぶした。
「やめろよ!」
又三郎が俺の手を
ふりほどく。
俺はいつになく
楽しくなって笑った。
又三郎は肉を切り分けた。
それはそぎ落とされて
また新しい断面に
焦げ目がついて
実に旨そうだった。
「ニカイア、うまいよ。
食ってみな。」
又三郎がニカイアの手に
肉を取らせた。
ニカイアが、初めて人前で
食べ物を口にする。
だがそれは、
はたして
ものを食らう人の姿なのか
と疑いたくなる。
まるで、
単なる物質を
物質の中に
押し込んでいるだけだ。
ニカイアは咀嚼している。
「うまいだろ?」
又三郎が
ニカイアの顔をのぞく。
ごくん。と飲み下した。
「よくわからないな。」
又三郎はあきれた。
「わからないだってえ?」
「又三郎、こいついつでも
こんな調子なんだよ。
仕事の時も。
俺もういやになっちゃって。」
「猪はこんなにうまいのにな。」
又三郎は肉を
自分の顔の上に
ぶら下げてあーんと口をあけた。
俺たちが
ふざけているあいだに
いつの間にかニカイアは
姿を消していた。
宴もいよいよ終盤になった頃、
オーベール師が
みなに語りかけた。
「みんな、
おいしくいただいたね。
寄進してくれた
狩人たちに感謝しよう。
我々の糧となってくれた、
猪に感謝しよう。
我々に
生命を与えたもう主に
祈りを捧げよう。」
そうしてみなで声を上げて
食後の感謝の祈りを唱えた。
猪はすっかり
骨だけになっていた。
厨房係とともに
片付けながら親方は言った。
「この骨で、
いいスープができるぞ。」
ロメオがせむしと一緒に
肉を食うのが目に入った。
そういえば、
せむしとロメオは
わりと仲が良かった。
葡萄酒に顔を染めながら
笑い合っていた。
それはいつもの
怒られた時の
ヘラヘラ笑いとは違っていた。
そうだ、ニカイアは
やはり来ていないのか?
姿が見えなかった。
俺は捜しに言った。
ニカイアが
いくら食欲がないといっても、
このご馳走を逃す手はない。
ニカイアは
いつもの寝床にいた。
「おーい、ニカイア!」
俺はのぞきこんだ。
「今夜くらいは出て来いよ!」
俺はうまいものを食って
うまい酒をのんで、
うきうきしていた。
ニカイアは
しぶしぶながら
俺についてきた。
ニカイアを
迎賓の間に連れてくると、
又三郎がふくれっつらをした。
「またニカイア?」
俺は又三郎の両頬を
片手でつかんでつぶした。
「やめろよ!」
又三郎が俺の手を
ふりほどく。
俺はいつになく
楽しくなって笑った。
又三郎は肉を切り分けた。
それはそぎ落とされて
また新しい断面に
焦げ目がついて
実に旨そうだった。
「ニカイア、うまいよ。
食ってみな。」
又三郎がニカイアの手に
肉を取らせた。
ニカイアが、初めて人前で
食べ物を口にする。
だがそれは、
はたして
ものを食らう人の姿なのか
と疑いたくなる。
まるで、
単なる物質を
物質の中に
押し込んでいるだけだ。
ニカイアは咀嚼している。
「うまいだろ?」
又三郎が
ニカイアの顔をのぞく。
ごくん。と飲み下した。
「よくわからないな。」
又三郎はあきれた。
「わからないだってえ?」
「又三郎、こいついつでも
こんな調子なんだよ。
仕事の時も。
俺もういやになっちゃって。」
「猪はこんなにうまいのにな。」
又三郎は肉を
自分の顔の上に
ぶら下げてあーんと口をあけた。
俺たちが
ふざけているあいだに
いつの間にかニカイアは
姿を消していた。
宴もいよいよ終盤になった頃、
オーベール師が
みなに語りかけた。
「みんな、
おいしくいただいたね。
寄進してくれた
狩人たちに感謝しよう。
我々の糧となってくれた、
猪に感謝しよう。
我々に
生命を与えたもう主に
祈りを捧げよう。」
そうしてみなで声を上げて
食後の感謝の祈りを唱えた。
猪はすっかり
骨だけになっていた。
厨房係とともに
片付けながら親方は言った。
「この骨で、
いいスープができるぞ。」

