親方は丸顔で太っていて、
いかにも
おいしいもの大好き、
食べるの大好き、
という顔と体をしていた。
「そりゃあ、
育ち盛りの餓鬼が
パンしか食わなけりゃあ、
まともに育つはずもない。
俺はおまえたちが
健康で元気に働けるように
いつも考えて
献立を作ってるんだ。」
「ありがとう。親方。
いつもおいしく頂いてるよ。」
俺は言った。
親方は満足そうにうなずく。
「食材は赤と緑と黄色のものを
できるだけ一緒に
使うようにしている。
そうすれば、
必要な栄養は
たいていまかなえる。
彩りもよくて食欲もわく。」
「そうだ親方の料理は
目でもおいしく味わえる。」
俺は親方の機嫌を
さらによくする言葉をかける。
「夏には夏の、冬には冬の、
山海のめぐみを
届けているんだ。
そいつが
おまえ達の栄養になる。」
「ああ、俺、
ここへ来てよかったなあ。
毎日親方の料理が食べられて。」
俺は目を閉じ
幸せの享受を表現した。
親方は豪快に笑った。
又三郎は
あきれて笑っている。
「そんな親方の
作る食べ物を
ニカイアにも
食わせてやりたいんです。
そしたらきっとあいつは
食べる喜びに目覚めて、
どんどん食べるようになって、
大きく成長するでしょうよ。
そしたらもう、
狭苦しい寝床なんかからは
這い出てくるでしょう。」
親方は
大きくうなずいて言った。
「わかったよ。
しばらくニカイアに
栄養の摂れるものを
用意しよう。」
親方は又三郎に言った。
「又三郎、
おまえがやってくれるな。」
又三郎の顔が輝いた。
「はい。」
下ごしらえの準備や
食器の片付けばかり
やっている又三郎にしたら、
新しく責任のある仕事を
任されてうれしいのだろう。
「さあっ、仕事だ仕事だ。」
親方は威勢良く立ち上がって
両手を一つ打ち鳴らして
厨房に入っていった。
又三郎が俺に言った。
「ミゲーレって
たいこもちだね。」
「俺は必要なものの
ためならば
手段は選ばないよ。」
俺はささやいた。
又三郎は俺を見て
楽しそうに笑って
厨房に入っていった。
いかにも
おいしいもの大好き、
食べるの大好き、
という顔と体をしていた。
「そりゃあ、
育ち盛りの餓鬼が
パンしか食わなけりゃあ、
まともに育つはずもない。
俺はおまえたちが
健康で元気に働けるように
いつも考えて
献立を作ってるんだ。」
「ありがとう。親方。
いつもおいしく頂いてるよ。」
俺は言った。
親方は満足そうにうなずく。
「食材は赤と緑と黄色のものを
できるだけ一緒に
使うようにしている。
そうすれば、
必要な栄養は
たいていまかなえる。
彩りもよくて食欲もわく。」
「そうだ親方の料理は
目でもおいしく味わえる。」
俺は親方の機嫌を
さらによくする言葉をかける。
「夏には夏の、冬には冬の、
山海のめぐみを
届けているんだ。
そいつが
おまえ達の栄養になる。」
「ああ、俺、
ここへ来てよかったなあ。
毎日親方の料理が食べられて。」
俺は目を閉じ
幸せの享受を表現した。
親方は豪快に笑った。
又三郎は
あきれて笑っている。
「そんな親方の
作る食べ物を
ニカイアにも
食わせてやりたいんです。
そしたらきっとあいつは
食べる喜びに目覚めて、
どんどん食べるようになって、
大きく成長するでしょうよ。
そしたらもう、
狭苦しい寝床なんかからは
這い出てくるでしょう。」
親方は
大きくうなずいて言った。
「わかったよ。
しばらくニカイアに
栄養の摂れるものを
用意しよう。」
親方は又三郎に言った。
「又三郎、
おまえがやってくれるな。」
又三郎の顔が輝いた。
「はい。」
下ごしらえの準備や
食器の片付けばかり
やっている又三郎にしたら、
新しく責任のある仕事を
任されてうれしいのだろう。
「さあっ、仕事だ仕事だ。」
親方は威勢良く立ち上がって
両手を一つ打ち鳴らして
厨房に入っていった。
又三郎が俺に言った。
「ミゲーレって
たいこもちだね。」
「俺は必要なものの
ためならば
手段は選ばないよ。」
俺はささやいた。
又三郎は俺を見て
楽しそうに笑って
厨房に入っていった。

