冥王星

又三郎が俺のベッドに
やってくることも
なくなった。

もともとあまり顔を合わせる
機会もなかったが、
礼拝などで見かけると、
声をかけたくても
かけられなかった。

又三郎は俺を避けていた。

ただ、簡単なことだった。

ゲドウの言ったことは嘘だ。

そう言えばいいだけだ。
又三郎が俺に殺意を持ったこと、
そんなことももうどうでもよく、
また又三郎の体に触れたかった。

しかし、心のどこかに、
あの、又三郎が俺を
殺そうとした時の
肉食獣のような顔が
こびりついていた。



夜、眠りにつく時、
さみしかった。

体を横にして丸め、
又三郎を思った。

胸の苦しみのあまり、
俺は下のトラビスに向かって、
ベッドの上段からだらりと
腕を垂らした。

「どうした。」

トラビスの声が下から
きこえた。

「さみしいんだ。」

トラビスは俺の手を
つかんだ。

「いつか僕が苦しんでいた時、
ミゲーレはずっと僕のこと
見守っていてくれたね。」

「あの時俺、あんたに、
余計なことしたんじゃないかって。」

「そんな風には思わなかった。」

「それならいいんだけど。」

トラビスはぐっと
握る手に力を込め、
そして離した。

「おやすみ。」

「おやすみ。」