亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

『―――……悪魔は我らにも…敵側にも………微笑んでおる……』

『――……何が起きるのか………………』










中央の守人はしわがれた笑い声を漏らし、ポツリと呟いた。















『……………………………影じゃ…………………奴等……動きよるぞ…』






























地図をずっと見下ろしていたせいで、首が痛い。

コキッ、と骨を鳴らして頭を上げると、視界に入った窓の向こうはもうすっかり暗くなっていた。

軍議は一度始めると夢中になってしまう。
一夜まるごと軍議に費やしたこともあった。

「………一端中断しませんか~…」

肩を回しながらオーウェンは言った。
確かに。少し休んだ方がいいかもしれない。気付かぬ間に身体に疲労が蓄積している様だ。

「………そうだな。…………少し休憩をとろうか…」

「………そういえばアレクセイがいませんね……いつもならこの時間………『何かお食べになって下さい!』ってしつこく言ってくるのに……」

ああ、そういえば…と三人は首を傾げた。
うるさい世話係が定まったスケジュール通りに動いてくれないと……なんだか調子が狂う。

「………まあいいか。……俺は反対側の私室に行っとくぜ~。途中で、倒れている爺さんを見つけたら教えてやるよ」

「………そんな充分可能性のある事言うなよ……」

ヒラヒラと手を振って退室するオーウェンに、リストは真剣な表情で言った。