………昔は……こんな姿だった。
髪は結わずに垂らしていた。伸びてきたら、腰より上の位置で切り揃えていた。
………長いのはあまり好きではなかった。短く切りたい衝動に駆られた時もあったが…………。
―――…長い方が似合っている
いつだったか。
あの少年はそう言った。
そのたった一言が、なんだか無性に嬉しくて…………長いままでいようと、決めたのだ。
………ここ数日……何か、おかしい。
………幼い頃の………あの男と交わした言葉や、その姿や、感情が………………。
……………次々と、蘇ってくる。
そのせいだろうか。
もはや、他人とは思えなくなってきた。呼び止める際にも、何の躊躇いも無く、あの男の名前を呼んでしまいそうになる時が多々あった。
親しい友人の様な、信頼出来る………。
(…………何なんだろう…………………この………)
…………胸の辺りにいつの間にか生まれていた…………暖かさは。
腕を組んで鏡の自分を数分睨んだ後、ローアンは軽く手を叩いた。
「……着たぞアレク…」
「お待ちしておりましたぞ―!!」
これでもか!、というくらい勢いよく扉が開き、意気揚々とアレクセイは小物を両手に入って来た。
「では、では、ついでと言ってはなんですが、お化粧も少しばかり…!」
「………………………………好きにしろ」

