亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



………昔は……こんな姿だった。

髪は結わずに垂らしていた。伸びてきたら、腰より上の位置で切り揃えていた。

………長いのはあまり好きではなかった。短く切りたい衝動に駆られた時もあったが…………。


















―――…長い方が似合っている






















いつだったか。









あの少年はそう言った。



























そのたった一言が、なんだか無性に嬉しくて…………長いままでいようと、決めたのだ。






………ここ数日……何か、おかしい。




















………幼い頃の………あの男と交わした言葉や、その姿や、感情が………………。




……………次々と、蘇ってくる。



そのせいだろうか。






もはや、他人とは思えなくなってきた。呼び止める際にも、何の躊躇いも無く、あの男の名前を呼んでしまいそうになる時が多々あった。


親しい友人の様な、信頼出来る………。










(…………何なんだろう…………………この………)

















…………胸の辺りにいつの間にか生まれていた…………暖かさは。
















腕を組んで鏡の自分を数分睨んだ後、ローアンは軽く手を叩いた。

「……着たぞアレク…」

「お待ちしておりましたぞ―!!」

これでもか!、というくらい勢いよく扉が開き、意気揚々とアレクセイは小物を両手に入って来た。

「では、では、ついでと言ってはなんですが、お化粧も少しばかり…!」

「………………………………好きにしろ」