亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「どっちにしろ……あの男は自らローアンを捜すだろうな…………つまり、最初から前線には出て来ない可能性がある」


盤上の真ん中よりも、両端の守りを怠るな。

盤上ゲームというものは、端を侵略されればお終いだ。



城のある丘が描かれた辺りに白の駒をばら蒔いた。

「………城への侵略を防ぐのと同時に、ローアンの死守。………守るべきものを同じ場所に置くのは危険だ………。…………ローアンは………前夜位に戦場から離しておこう………………出来るだけ、遠くに………」

敵前逃亡を嫌うローアンのことだ。断固拒否してくるかもしれないが……そこは必ず折れてもらう。

………彼女を守るためだ。




「………黒の魔術とやらはどうするんだ?……どんなものかも分かってないんだろ?」

オーウェンが肩を竦めて見せると、キーツは意味ありげな笑みを浮かべた。

「どんなものかは分かっていないさ。………だが、対処法になるかもしれない情報なら得た。……詳しくはアレクセイから話がある筈だ」

「…………爺さん……いつの間に…」

頭を掻いているオーウェンを押し退け、リストがピッと真直ぐ挙手をした。

「兵力の分散の事で僕からも…」



三人は再び、足下に広がる地図を睨んだ。



























深い意味なんて無い。


気が変わった…という訳でも無い。




………ただ…このドレス特有のヒラヒラフワフワ感が懐かしく思え、今なら着れるかな?…と思ったからだ。


やけに空気の通りが良いドレス。

いざ着てみると…………身体にしっくりときた。
違和感など全く無い。以前の様に嫌気も刺さない。


………。