―――……ローアン……貴女………あのヘタレキーツからの婚約を承諾してから……どれ位経ちますの?

―――………どうしたのリネット……そんな不機嫌な顔を浮かべちゃって……。………いつもの三割増怖いわ……。

―――エルシアお姉様は黙っていて下さいな。………で、どうなのローアン。

―――…どれ位って………………一ヶ月は経っているかと……。

―――………一ヶ月…………一ヶ月も両想いの仲のくせに…………………………手も繋いでいないではありませんの…!!

―――。

―――…手を繋ぐくらいしているじゃないの~。二人で並んでルンルンと廊下を歩いているのよ。とっても可愛いのよね~。

―――…気持ちの入れようが問題なのです!………今更貴女方二人の仲睦まじさにどうこう言いませんけど………婚約者同士ならそれらしく!いじらしくても宜しいですから、もっとイチャつきなさい!!………見ているとムシャクシャしますの…。

―――…リネット…。

―――…そう言われましても………キーツは重度の恥ずかしがりやですもの。………目を合わせると真っ赤になりますし……笑い掛けると固まりますの。

―――そんな男の子も今時珍しいわね……。

―――……第一……ローアン!貴女はどうなの!!…………貴女からあの坊やに、愛の言葉の一つもかけてやっていないのではなくて?………これではまるで、キーツの片思いの延長線ではないの!貴女…本当にキーツが好きなの?


―――……あら……そうでなければ承諾なんかしませんわ。




……………私は、キーツを……。