ベルトークやイブ達三人のシルエットが、グラリと揺らいだ。
黒煙の如く立ち込め、サアァァ……と塵と化した。
完全に闇に溶け、消え去る直前、イブはリストに向かってあっかんべーと舌を出した。
………ダリルが拳骨を食らわしていた。
「―――これで期日ははっきりした」
柔らかい光を放つ城の前から丘の下方まで、国家騎士団の全ての兵士、全勢力が集結していた。
夜更けの欠けた月の下で、火を掲げたその集団は異様だった。
城の方を見詰める兵士達の最前には、彼らの上に立つのに相応しい、国家騎士団の総団長キーツが立っていた。
燃え上がる炎の赤。陽光の如き澄んだ琥珀色。
鮮やかなオッドアイは、強い意志を宿し、共に戦ってくれる戦友達を映した。
「―――…時が来る。………復讐の時だ。……最後の…最後の戦争だ。………皆、気を引き締めよ。その日までに……己を高めよ…!最高の己を、己が目で見よ!」
―――兵士達は無言で、揃って敬礼をした。
「………最後………か。……そうだと良いんだがな…っと」
「………終わらせるさ。あちらもそのつもりだろう………右に寄り過ぎだオーウェン」
―――カキンッ
巨大な槍がクルクルと弧を描き、遥か後方の地面に勢いよく突き刺さった。

