「この坊やは勝手に切っただけなんだよ。無造作に」
「何処から湧いて出て来た!?」
いつの間にか真後ろにオーウェンがいて、しかも勝手に答えていた。
「………リスト、今は喧嘩売るのは駄目だぜ?あとガン見も駄目だ。いくらこんな可愛いお嬢さん方だからって」
「やっだあ~お兄さんったら~。素直な人~!イブちゃん照れちゃう~」
「いやぁ―ハッハッハッ!ノリの良いお嬢さんは良いねぇ~!」
なんだか盛り上がっている面々。リストは呆れ顔でオーウェンを見上げていた。
「………おっと。そこの麗しい彼女~…………………あんたが例の、寄生されてる兵士さんかい?………だよな」
奥の方でやりとりを傍観していたマリアは、呼ばれたことに気付き、やんわりと笑顔を返した。
「あら……私のことかしら?………ええ、私が例の、化け物よ」
………イブとダリルは揃ってマリアの方に振り返った。
化け物、など………自分から言ったことなど無かったのに。当然とばかりに、言い切った。
…しかしマリアは、笑みを絶やさない。いつからか隠すのを止めてしまった、醜い右足。そこにオーウェンの目が行く。
「………あんたの足……それがパラサイトか………それにはだいぶてこずったぜ。……以前の襲撃で出た死傷者の半分以上は……それのせいさ。………無慈悲な殺人兵器にされて…………………何とも思わないのか?」
オーウェンの言葉は、優しいマリアの心を貫くには充分なものだった。

