亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

体の大きさは魔獣ライマンとほぼ同じ位だ。真っ白な体、鳶色の瞳、一際目を引くのは、頭の、青い石が付いた角だ。

耳が無い代わりに、角の石で超音波を発し、周囲の音や気配、体温までも感知する事が出来る。

絶滅品種の聖獣であり、多分、このルアが最後のネオマニーであろう。


キーツの良き相棒だ。戦闘時は常に、ルアと共に出る。

ルアの頭をそっと撫で、三人の中央に座らせた。

「……さあルア…前の襲撃の…“石の記憶”を見せてくれ…」

嬉しそうに吠えると、天井に向かって頭を上げた。


スカイブルーの石が、小さな光の波紋を放ち出した。

それは徐々に大きく、部屋全体に広がっていく。
……周りの音が聞こえない。外にいる訓練中の兵士の掛け声も、鈍い刃の音も、風も、何も………。





―――カッ…。






視界が、青白い光りに包まれた。