ローアンを残し、三人は部屋から退室した。
「あーん、もうちょっと時間欲しかったな―…五分は短いよ―」
「贅沢言っちゃ駄目よ。ここに来るって事だけでも、物凄くお願いしたじゃない」
「それはそうだけど―……ベルトーク隊長はやっぱりケチ………」
ペラペラ喋るイブの口が、ピタリと止まった。前をじっと見たまま静止している。
後の二人は、イブの視線を辿った。
その先には……。
イブを睨み付けている少年が一人。ダリルと同じ位の背丈だ。
………第3幹部のリスト=サベス……。
「………な~んだ……あんたか。………そうやって睨み付けるの止めてくれませんか―?穴が空いちゃう~」
「………」
終止無言なリスト。イブは両手を腰にあて、ふー…っと溜め息を吐いた。
「………何よ?……この廊下はフェーラ禁止区域なわけ?だったら先に言ってっての~。………あ―うざうざ~」
「………さっさと……出て行け…」
絞り出した様な小さな声。憎悪に満ち溢れたリストの態度に、イブは顔をしかめる。
後でマリアがオロオロとしている。
「………喧嘩売ってんの甘ちゃん?………良いよ~買うよ?………戦場でね。……そのお首をしっかり洗ってなさ―い。噛み付いてやるから。………あ、でも不味そ~う」
リストの表情が一気に険しくなった。
「…………貴様……!!」
「……何この後ろパッツン」
「――後ろパッツン!?」
この険悪なムードをたった一言でぶち壊したダリル。
リストを指差しながらボソボソと言う。

