亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

固く閉ざされた薄汚れた窓を見やると……まだ向こうは暗い。日も昇っていない様だった。

格子の間に無理矢理頭を突っ込んでいるルア。………昨夜からずっとこの地下牢にいたらしい。

「………頭が抜けなくなったらどうするんだ…」

苦笑しながら額を小突くと、甘える様な鳴き声を漏らした。


寝起きの良いトウェインはこの冷たい空気の中、一枚だけの毛布をパッと押し退け、手早く丁寧に畳んだ。

格子の外にはいつの間にやら、新しい服が揃えて置いてあった。


(………だんだんと質の良い服になってきているような……)

明らかにその辺の農村で出回る様な服ではない。捕虜がこんなの着て良いのか。




(…………まぁ…いいか。…………それより、も………)

トウェインは再び窓の外に視線を移した。









…………昨夜から感じる、この殺伐とした波打つ空気。


―――知っている。

よく……知っている感覚だ。


この空気を真正面から受ければ………たいていの者はしばらく震えが止まらないのだ。


(―――総隊長……)


………自分がここにいる事など、とっくの昔にばれているだろう。どうやら、連れ戻そうという気は無い様だが…。



―――それはつまり、完全に自分は、アレスの使者から外された事を意味する。