『―――………僕は………この力が嫌いだ。………だから使わないよ………………でも、あんたが必要とするなら、使う。…………自分のためには…………使わない。…………殺してくれるあんただけに、貸してあげるよ』












………我ながらおかしな事を言ったものだ。


彼女は………






彼女は………初めて僕を読んだ人間。


他人を読んできた自分が、初めて読まれた。

自分でも分かっていなかった、僕の奥深くを。


















「………あとちょっとで全部沈んじゃう~……」

「…………何て言うか………物悲しいわね。こういう時……」

「………そうかなぁ?…『昇る朝日は始まりを。沈む夕日は次の始まりを呼ぶ』~ってポジティブだよ」

「………それ、誰が言ったの?」

まずイブはそんな事言わない。言う様な奴じゃない。

イブはうんと背伸びをし、息を吐いて答えた。

「………隊長」


「………」

「―――」






しばしの沈黙が続いた。
赤い光は段々と、瑠璃色の衣を羽織って遥か向こうへと去っていく。

空気が夜気へと変わろうとしていた。




「…………隠し事なんかしない―って言ってたのに………嘘つき」