亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~



どうすれば、こんな呪いを解く事が出来るのだろうか。

どうすれば。






(………あの赤い……碑石か………)




口を固く閉ざした物言わぬ孤城に、今もひっそりと眠る碑石。


………元凶があれだとすれば………あれをどうにかすれば………。


………。






(……………どうにもならない……か)


城が開かぬ限り、どうする事も出来ない。

ただ……今は目の前の敵から、この荒れ果てた王無き国を守るのみ。不毛な事かもしれない。だが……出来る事など…………それしかないのだ。






(―――………先が見えないな……)



フフッ、と自嘲的な笑みを浮かべる。



もはや何も無い、荒廃した村から踵を返した。



















―――瞬間、鞘に収めていた剣を目にも止まらぬ速さで背後に抜刀した。



ほんの僅かだったが……乱れの無い真っ直ぐな殺意を感じたのだ。

案の定、握り締めた剣には手応えがあった。振り返り様に剣を横凪ぎに払う。

背後にいたそれが視界に入った時………キーツは目を丸くした。











キーツが切り捨てたのは、先程殺した筈の…見覚えのある影だった。

……それがまた。