亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

それは突然で、しかも群れで襲いかかって来た。

ここ最近で見つかった鳥型の影はもちろん、獣型の影もいたのだが………一際大きな、まるで獅子の様な形の影が紛れていたのだ。

極めて好戦的で、何の躊躇も無く突っ込んで来る。衝突する寸前に、頭がパックリと上下に割れ、真っ赤な核が覗く大きな口が牙を剥く。


………これにはややてこずった。

…………以前の様に、原形の無い、真っ黒な塊ではなくなってきている。






凶暴化している…と言ってもいい。




キーツ達はなんとか負傷者も出さずに、影の群れを退治することに成功した。


……戦闘を終えた後、全員が息を呑んだ。



………影の残骸が散らばり、自分達が佇んでいる場所は…………無人の村であると。





(………影はこの辺りから出て来た。………崩壊した村の跡も……まだ新しい…………となると……今手に掛けた影は皆………)








元、村人達だったのかもしれない。

消えた人々も、家畜も、全部………。






(………惨いな)






民を助けるどころか、この剣で容赦無く切り捨てている。




何をやっているのか………時々分からなくなる。