亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~





――――…すっとしゃがみ、ロングブーツの紐を解き始めた。


「………」



解き終えるなり、トウェインは両足のブーツをその辺に放り投げる。

…真っ黒なブーツが無造作に転がった。



そして今度は、上着を締め付けているベルトを緩め………。


「………お取り込み中ごめん。………隊長さん…………何やってんの?」

オーウェンは静かに訊いてみた。

トウェインは何食わぬ顔でカチャカチャとベルトを外した。

「………アレスの使者が着ているこの灰色の軍服は、魔獣ライマンの毛皮で出来ている。これを着用しているからこそ、“闇溶け”が可能なのだ。よってただの凡人になるならば………簡単なことだ」

トウェインは無表情のまま、真剣な目で断言した。





「―――脱げばいい」





















間。




















「―――止めい止めい止めい止めい止め―――い!!」





顔を真っ赤にして、リストが目茶苦茶叫んだ。

周りの兵士達もなんだかわたわたしている。

トウェインは構わず上着を放り投げた。
上半身は白いブラウス姿となった。


「―――ぬ、ぬぬぬ脱ぐだと!?公衆の面前で…!」