危害を加えないと言われても、信用し難い。
トウェインは首を傾げて何やら考えに耽った。
ようやく額と顎の痛みが引いてきたリスト。
また裏拳を食らわされないように、オーウェンの背後から離れた。
「………オーウェン……捕虜など……本気か?………捕まえても……逃げるに決まって…」
「―――ようするに……」
リストの喚きはトウェインの声に遮られた。
何か思い付いたのか、トウェインはパッと顔を上げた。
「―――私が、“闇溶け”が絶対に出来なければ……信用してくれるのだな」
―――……。
「まあ…簡単に言うとそうだな」
オーウェンはこくこくと頷いた。
武器も持たない、“闇溶け”も出来ない凡人であれば、まだ信じる事が出来る。
「………ならば仕方無いな」
トウェインは溜め息を吐きながら、組んでいた腕を解いた。
………何をする気だ?
リストや周りの兵士、オーウェンでさえも訝しげに見ていた。
―――突如……リストの方に帽子が投げられた。
トウェインが今まで被っていた灰色の丸い帽子だ。
リストは反射的に受け取った。
兵士達が囲む中……トウェインは……………。

