亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

トウェインはオーウェンを真っ直ぐ見上げて言った。


…………この威勢の良い眼光………懐かしいな。………リネットにそっくりだ。




「………私は今、どちらの勢力にもつくつもりは無い。………ただ……この城において欲しいだけだ」

……おいて欲しい?

オーウェンは眉をひそめた。


………随分とおかしな話だ。


「………私を敵と見るもよし。なんなら、捕虜にしても構わん。尋問や拷問、何でも好きにするが良い。………生かしてくれてさえいればな」



「―――減らず口を!!………今度は何を企んでいる!!……油断させておいて、その忌々しい“闇溶け”を使うつもりだろう!!………誰が騙され……ごはぁっ…!?」

再度オーウェンの裏拳が飛んだ。今度は顎に食らった。

舌を噛んだらしい。しゃがみ込み、無言で悶えていた。


「………開き直ってるねぇ。………なるほど……まぁ確かに……使い様によっては良い人材だな。ここで殺すには惜しい……が、しかし……罠とも取れる…………武器らしい武器を持っていなくても……あんたらはただでさえ人間離れした兵士だからな?」


……闇を操る能力がある限り、この場で戦闘をしようが逃げようが、何だって出来るのだ。