亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「………また奇妙な。………これはオーウェン様を起こしているどころではありませんな」

アレクセイは法螺貝を置いて階下に降りて行った。


法螺貝の音が鳴り、敵の単独による侵入と聞かされていたが、今はその敵を、あのルアが迎入れているとは………。


(………敵兵士は一人…しかも娘……)


塔内の広間。

剣を構えた兵士達がずらりと囲む中を、ルアと問題の敵兵士が入って来た。



………後ろからリストが冷や汗だらだらで続くのが見える。



アレクセイは螺旋階段をゆっくりと降りて行きながら、敵兵士をじっと凝視し続けた。


………深く被った帽子がその顔を隠している。よく見えない。


ようやく広間に降り立ち、兵士の囲みを掻き分けて中央へ向かった。

広間の中央には、ルアと敵兵士が立ち止まっている。


「……………リスト様……これはどういう事ですかな?敵兵士を招き入れるとは……」

アレクセイに気がついたリストは、不機嫌な表情を向けて来た。


「……誰が招き入れるか!………ルアが………こいつを………」


アレクセイは視線をリストから敵兵士に移した。



小柄な敵兵士は、ほぼ同じタイミングでアレクセイに顔を向けた。