亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

………懐かしい温もりがそこにはある。

ふわふわとした毛並みも、可愛らしい鳴き声も、優しいまなざしも。





………目の前で起きているよく分からない状態に、リストはしばし無言で見ていたが、はっと我に帰った。

「……………こ…この女!……ルア!女相手だからってデレデレするんじゃない!」

「……ルアは雌だ」

「嘘ぉ!?…………いや、なんでお前がそんな事を……!!」


ルアは一端離れ、踵を返し、尾を振りながら城門内に入って行った。
ちらちらとトウェインを振り替える。

………ついて来いと言っているのだろうか。


トウェインはルアの後をついて行った。



………妙な展開になってきた。


「………お…おい!!」

もしかしたら役に立たないかもしれない短剣を握ったまま、リストはトウェインとルアの後を追った。


ルアを先頭に、その後ろを敵兵士が続く。

……どうする事も出来ずに、周りの兵士達はトウェインの侵入をただ呆然と見ていた。












「………おや…」

騒々しかったのが、急に静かになった外。


オーウェンを起こしに行こうと法螺貝を引きずっていたアレクセイは、窓からこの奇妙な展開を傍観していた。