「―――ならば引き返せ。首がとぶ前にな」
殺気に満ちた刺々しい声が聞こえた。
……奥の方から、両手に短剣を握り締めた黒髪の少年が現れた。
トウェインは、ほぼ同じ位の背丈のこの少年に向き直った。
「………こうやって真正面から対峙するのは二度目だな。………幹部リスト」
リストは立ち止まり、トウェインを思い切り睨み付けた。
「……………ふん……第4部隊隊長殿が………たった独りで何の用だ。いつぞやの輩同様、醜態を曝しにでも来たのか?」
「………生憎、その予定は無い。心地良い殺気を投げ掛けてくれている所悪いが……お前と争う気も、さらさら無い」
トウェインとしては、穏便にこの状況を済ませたかったのだが……口の悪さがここで災いした。
馬鹿にされた、とリストは受け取った。………リストは短剣を構える。
「…………争う気が無い?…………ふざけた事を……!!」
唇を噛み締め、リストはトウェインに飛び掛かった。
武器を所持していないトウェインには防ぎようが無い。
―――大きく後退しようと身体を屈めた時だった。
トウェインとリストの間に、真っ白な獣が優雅に降り立った。

