亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

しかし、このまま黙って丘を登られる訳にはいかない。
何人かがトウェインに向かって突きを繰り出してきた。それを軽やかに避け、トウェインは一端立ち止まる。


「………致し方ないな。……………強行突破させてもらう」



………何?とほとんどの兵士が怪訝な表情を浮かべた矢先、トウェインの姿がふっと消え失せた。


真っ黒な冷たい闇が砂埃の様に漂い、兵士達の足元へ。




「……………っ…!?全員散れ!!“闇溶け”だ!!俺達の影を移動してるぞ!!」



昼間だと油断していた。これだけの人数が集まれば、足下は濃い闇が出来る。





………丘の上の方にいた兵士が悲鳴をあげた。


時既に遅し。

トウェインはあっという間に移動し、城門前にいた兵士の足元からずるりと抜け出した。
兵士の足をグイッと掴み、転倒させる。



「この女………!?」

槍を向ける装甲兵。
鋭い切っ先を何本も突き付けられたが、トウェインは動じない。





「……………上の者なら誰でも良い。幹部の人間と話がある」

トウェインは腕を組み、小高い丘にある城を一瞥して言った。

「何だと……!!」

槍を握る手に力が入る。


「…………別に死にに来た訳では無い」