母と同じこの金髪の色や艶は気に入っていたのだが………長いのが気に食わなかった。


ちょっと屈んだり、俯いたり、振り返るだけで、長い髪は呼応してゆらゆらと揺れる。

首周りは熱いし、たまにチクチクしたりかゆくなったりする。

汗をかいた時なんかはもう最悪。額や顔に張り付くのだ。




………切りたい。


何度そう思っただろうか。



大臣達や廊下に並ぶ家来、ちょっと額が現在進行中で広くなってきたアレクセイなんかを見ると、ああ……涼しそう……と羨ましくなることもしばしば。


しかし王族が……ましてや女が短く髪を切るなど……あってはならない。



………なんて融通の効かない文化かしら…と子供ながらに溜め息を吐いた。



ならば、自分がその一人目となろうか。大胆に。


そんな事を真面目に考えていた。


だから、彼にも意見を求めた。




………最初はかなり驚いていた。

彼はどちらかと言えば、固い常識人だから。


―――私は良いと思うの。そんなのは自由じゃないかしら。


―――……そうかもしれないけど………。


彼はほんの少し顔を赤らめ、はにかんだ笑顔で答えた。


―――……ローアンは……長い方が良い。僕は……好きだな。