亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

戦争という過酷な道を並んで歩いてきた二人は、互いを、きっと自分自身よりも理解していた。

性格や口癖、身振り素振り、好き嫌い、得意な事と苦手な事、面白いところ、馬鹿だなと思うところ、尊敬出来るところ。


時折見せる笑顔や、不意に呟く弱音、優しいところ。




……相手の…一番好きなところ。










全部、分かっていた。
分かっているつもりだった。











でも、本当は分かってなどいなかった










…………今目の前にいるジスカは、見たことの無い、知らないジスカだった。




その状況を把握する間も無く、トウェインの視界は突然反転し、背中にソファの固い感触が伝わった。


大きく見開いた目には、ジスカの顔と暗い天井しか映っていなかった。


ふと、互いの唇が離れた。



唖然とした表情で、トウェインはジスカを見詰める。





「―――………なんつー顔してんだよ………驚いたか……?………だよな…………お前はほんと…こういう事には鈍いからな……」


意地悪く浮かべる笑みだが、トウェインを見詰めるその目は真剣そのものだった。




ジスカの艶のある金髪の髪が、耳元でゆらゆらと揺れる。